consono

-ともに響き調和する-

阿部佑亿
芝田町画廊・芝公2024
ギャラリー住吉橋賞受賞記念展
2025年8月23日~8月29日
11:00~18:00 最終日17:00
日本人はよく自分は『無宗教』だと言う。  そう口にする人達は事実として神を信じてはいないのだろう。  しかし、いざ何かにすがろうとするとき、誰しも頭に己以外の何かが思い浮かんでいるはずだ。例えば、すでに鬼籍に入った親類縁者や生きて隣りにいる家族に友人達が挙げられる。大事にしているぬいぐるみだということだってある。  名称や戒律など無くとも、仰々しく祀り上げずともいい。おおよそ他人にはどうだっていいものでも強く思う心さえあればそこに信仰は生じていると私は考えている。  そもそも神仏は人の存在なくしては成り立つことができない。かつて古代の人々が思い描き寄辺とした人知の及ばぬ大きな存在。いつしか人々の思いや願いが形を得て、神や仏として名や意味を持った。それが彼らなのだ。  日常の中にこそ神仏が住んでいて、普段は気付きもしないが知らないうちに心の縁にしている。何かが欠けてしまったときには彼らに補ってもらえばいい。そうして安らぎを得たのであれば、彼らへの感謝の気持を言葉にして出せばいい。  人と神仏はこの世界で調和して存在しているのだから。  タイトルに冠した『consono』はラテン語で「ともに響く」という意味を持つ言葉。  様々な考えの人間がいて、それぞれ違った信仰の形がある。それらが互いに折り重なり響き合い混ざって『和』を成す世界であって欲しいと切に願う。